2021年8月1日(日曜)14:00〜17:00
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本シンポジウムは、社会包摂デザイン・イニシアティブが目指している方向の一端を紹介し、興味を持っていただける方を一層増やして、参加していただくことを目標とし、より広いムーブメントのそのきっかけとすることを目的に開催しました。
第1部では、貧困や格差、断絶も広がっている現代社会において「オルタナティブな社会の在り方」(谷)が求められており、「総合知によって、直面する社会課題を解決し、持続可能な社会の発展、特に人々の多様な幸せ、Well- Being を実現する社会をつくり出していく」(内藤)主体の必要性が述べられました。また、制度や数は整えられても 本質が変わらないことはあり、人材の育成の手法をはじめ、「マイノリティに対する意識を『支援を受ける存在』から『ソーシャルイノベーションをもたらす価値の存在』へと変容させていくこと」(田中)が重要であると指摘されました。これらの背景を踏まえ、社会包摂デザイン・イニシアティブは、「デザイン連携方法やデザインを生み出す方法、それから課題再発見」(中村)のための仕組みのデザインに取り組んでいくものであることが説明されました。
第2部ではゲストより「市場」「場づくり」「対話」それぞれの観点から、先行して包摂型社会を目指す取り組みについて、国内外のプレイヤーや研究者に、事例や考え方を紹介してもらいました。
第3部では、第1部、第2部の登壇者とともに、多様な存在とともに包摂的な社会をつくっていくために必要な人と人との間の境界を乗り越え、様々なモノ・コトを組み直していくために必要な仕組みのデザインとはどのようなも のかについてディスカッションを行いました。
【ディスカッション】
ディスカッションでは、人と人との間の境界はどうすれば乗り越えられ、様々なモノゴトの結び付きが生まれるかが話題となりました。 登壇者の対話の中から、「これまで、組織の縦割りは建築のように強固につくられていたかのようであったが、それは見え方や一歩踏み出すことの意思の問題であり、実は簡単に越えられるものであり、実際に垣根を乗り越えていくことを見せていくこと」や、「一歩踏み出しやすい境界線のデザインやとまどう人の背中を押すような存在の配置」が重要だということが示されました。
[主催]九州⼤学⼤学院芸術⼯学研究院 社会包摂デザイン・イニシアティブ
[登壇者] ※肩書きはシンポジウム当時
谷 正和(九州大学副学長・大学院芸術工学研究院研究院長)
内藤 敏也(九州大学理事・事務局長/男女共同参画推進室長)
田中 真理(九州大学基幹教育院教授、キャンパスライフ・健康支 援センター)
尾本 章(九州大学社会包摂デザイン・イニシアティブ長、九州大 学大学院芸術工学研究院副研究院長)
中村 美亜(九州大学大学院芸術工学研究院准教授)
[ゲスト登壇者]
林 孝裕(電通ダイバーシティ・ラボ代表)
耘野 康臣(NPO 法人九州コミュニティ研究所代表)
原 真理子(インランドノルウェー応用科学大学研究員)
[ディスカッションモデレータ]
宮田 智史(NPO 法人ドネルモ事務局長)
[司会]
尾方 義人(九州大学大学院芸術工学研究院教授)
参加者: 101 名(Zoom 瞬間最大接続者数)
参加方法: Zoom オンライン
時間: 14:00〜17:00
参加費: 無料
スタッフ: 古賀琢磨(DIDI 学術研究員)、ヴァンゲンド亜季(DIDIテクニカルスタッフ)
UDトーク: 菅本千尋(九州大学大学院学生)、内藤真星・伊藤涼(九州大学学生)