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社会包摂デザイン・イニシアティブとは

社会包摂とは、障害、性、国籍、貧困などの理由で社会から阻害されてきた人たちを含めた、あらゆる人たちの存在が尊重される社会のあり方を指します。このような包摂型の社会を実現するためには、従来とは異なる方法で、もの・こと・サービス・社会制度を「仕組み」としてデザインし、社会実装していくことが不可欠です。社会包摂デザイン・イニシアティブは、多様なニーズに応じたサービスを提供し、個人のポテンシャルを引き出すための「仕組み」をデザインすることで、健全な成長や、豊かさの新しい価値を生み出す社会づくりを先導する研究教育機関です。(ソーシャルアートラボの取組を継承発展する後継組織です。)

* デザインは、日本では「色や形の工夫」と狭義に理解されることが多いですが、元来「設計と計画」を意味し、思考の枠組みやコンセプトを設計・再設計しながら、もの・こと・サービス・社会制度などを創造・再創造する行為を指します。

背景

現在の資本主義を基調とする社会は行き詰まりを迎え、暴力的ともいえる金融資本主義・市場原理主義が主導する「市場における自由な競争」によって、格差や貧困が拡大しています。非寛容が充満し、アメリカをはじめとして世界中で社会の分断が進んでいます。日本でもホームレス、障害のある人々、LGBTの人々に対する差別的な行為や発言など、社会的分断と非寛容の事例は年々増加しています。そして、新型コロナウィルスによるパンデミックは、こうした状況をさらに悪化させました。

これまで日本政府は、多様性のある包摂型の社会を実現すべく、「一億総活躍社会」「ソサイエティ5.0」(内閣府)、「地域共生社会」「人生100年時代構想」(厚労省)、「共助社会」(国交省)、「SDGs」(外務省)などの政策を推進してきました。しかし、従来の社会の「しくみ」を維持したままでは、政策的効果は限定されています。例えばイギリスでは、「社会的処方」(social prescribing)と呼ばれる精神疾患等を社会的にケアする「仕組み」をつくることで、不安や鬱の改善効果を高めるとともに、救急外来患者や入院患者を減少させ、約1億6千万円の医療費削減に成功しました。

アフターコロナの社会において、認知症ケアや障害者支援をはじめとした、さまざまな分野で新しい「仕組み」をデザインし、社会実装していくことは、多様性のある包摂型社会の実現のためにも、国家の財政負担を減少させるためにも緊急の課題となっています。

組織構成

社会包摂デザイン・イニシアティブは、アートに力点を置くソーシャルアートラボと、デザインに力点を置くシビックデザインラボ、実践知の体系化を行うデザインシンクタンクの3つのラボから構成され、複数のプロジェクトを展開します(詳細はこちら)。

社会包摂デザイン・イニシアティブのメンバーは、上記のいずれかに属しますが、プロジェクトを遂行する際には、ラボの枠を超えてタスクフォースを組みます。また学内外の協力教員とも連携します。