
芸術文化の価値とは何か ー 個人や社会にもたらす変化とその評価
著者 | 出版社 | 出版年 |
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ジェフリー・クロシック、パトリツィア・カジンスカ 訳者:中村美亜 | 水曜社 | 2022 |
カテゴリー
概要
原著『Understanding the value of arts & culture』 The AHRC cultural value project
「なぜ芸術文化は必要なのか」「芸術文化がもたらす効果はどのように捉えられるのか」という問いに取り組んだイギリスの政府機関AHRC(芸術・人文学研究会議)〈文化的価値プロジェクト〉の報告書。
実証的・科学的研究を扱いながら、歴史的・哲学的に深い洞察に満ち、国際的な反響を呼んだ。チェコ、ブラジル版に続く日本語訳。
(Amazonウェブサイトより。
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中村美亜先生からの推薦コメント:
原著を読んで、「芸術の力」が人間の生とどう関わるかということを実証的かつ体系的に論じていることに感銘を受けました。この本では「体験」を重視しているのですが、私も常々そうあるべきだとの思いもありました。もう一つ、経済的価値偏重の日本の現状に声をあげるということも、翻訳を始めた大きな理由です。芸術や文化を市場的な価値で測るようになったら、それはもう芸術でも文化でもなくなってしまいます。市場価値や政治的なものでできている世界とは違うレイヤーで、つまりお金にならないものでも良いものであったり、政治的にタブーだけど実は大事なことを見せていくからこそ、芸術や文化が存在する意味があります。それらをすべて市場的な価値に収斂(しゅうれん)させていくと単なる消費対象になってしまう。そうでないところできちんと芸術や文化を大事にしていく必要があります。
芸術や文化の力というのは言語化しづらいものですが、実践現場にいる人には、「こうやって語ったらいいんだ」というモデルを提示する内容になっていると思います。(推薦者コメント:中村美亜先生)