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02 ジェンダー 腫れ物議論ではないです

2022.10.11

性の多様性 言葉がたくさんあるということは

社会包摂のなかでも、ジェンダーについては大きな課題の一つです。
LGBT(+α)という言葉は多くのところで耳にするようになってきましたよね。
LGBTは、レズビアン(Lesbian)、ゲイ(Gay)、バイセクシュアル(Bisexual)、トランスジェンダー(Transgender)の頭文字をとった単語です。その後に、s、S、Qなどをつけることも多いです。付記された文字は、具体的に何かを示すと言うよりも、多様であるということを示しているのです。

LGBT以外にも、女性、男性、トランスジェンダー女性、トランスジェンダー男性(トランスジェンダーとは、出生時に割り当てられた性別が自身の性同一性と異なる人のこと。さらに、性同一性とは、『自身がどの性別に属するか、同一感を持つかという感覚』のことです。トランスジェンダー女性は、女性の性同一性をもち出生時に男性とされた人。トランスジェンダー男性は、男性の性同一性をもち出生時に女性とされた人)、


トランスフェミニン(例えば、出生時に割り当てられた性が男性で、性自認が女性寄りな人)、
トランスマスキュリン(女性として生まれたものの、女性的とされる特徴よりも、男性的とされる特徴を持つと自認する人)、
Xジェンダー(男女のいずれかに限定しない性別と考える人)、
バイジェンダー(性自認が男性にも女性にもあてはまらない人)、
トライジェンダー(3つのジェンダーを持っている人)、
アジェンダー(性別がないという認識を持つ人)、
ジェンダーレス(性別の区別がない人)、
ジェンダーフルイド(性自認が状況や心理によって変わっていく人)、
アンドロジン(一人の中に男性と女性が共存している人)、
アンドロジナス(「男らしさ」「女らしさ」などの枠組ではない考え方)、
パンジェンダー(相手の性別は関係なく「好きになった人が好き」という考えの人)、
ニュートロワ(第三の性(男でも女でもない)であることを自認している人)、
クエスチョニング(自身の性自認・性指向が決まっていない人)、
クィア(異性愛などを規範とする社会に違和感を覚える人)、
ノンバイナリー(自身の性自認・性表現に「男性」「女性」といった枠組みをあてはめようとしない人)、
第3の性、無性、中性、中性的、両性、両性的など、たくさんの考え方・行動・概念があります。

この他にもあると思いますし、顕在化していない考えが他にもあるとおもいます。”これまでの概念”を”元”に様々な解釈を増やそうとしているので、言葉が増えていくことは、当然かつ必然なことですね。

大学経営での考えかた

このように人間の性のあり方は多様です。多くの大学では、性を理由に差別されたり、不利益を被ったりすることがないよう基本方針を定め、サポートを行なっています。九州大学は、性的指向(SO -Sexual Orientation:恋愛や性愛の対象)や性自認(GI -Gender Identity:性に関する自己認識)が他の人とは異なっているLGBT等の学生や、それらの人たちを支える学生・教職員に向けて、最低限必要な知識を伝え、専門的なアドバイスや相談が必要な時の対処方法を助言したり、行動します。

九州大学では、明治44年の創設以来、創造性と多様性を尊重し、自由闊達な学風に基づく知の探求を推進してきました。責任と成果を分かち合う活力に満ちた大学をめざし、様々な個性を持つ学生及び教職員すべてが尊重され、誰もが自分らしくいきいきと輝くキャンパスを実現するための基本方針を以下のように掲げています。

人間の性は多様であることを理解し、性的指向(SO)や性自認(GI)に関する
(1)差別やハラスメントを禁止します。
(2)自己決定を尊重します。
(3)修学・服務の妨げを取り除きます。
(4)学生及び教職員への理解を促進します。

九州大学のLGBTsサポートガイド

また、以下、九州大学のLGBTsサポートガイドを引用しながらすすめていきます。

トランスジェンダーは、医学的に「性同一性障害」や「性別違和」と言われていたこともありますが、最近では「性同一性障害」は、DSM-5(アメリカ精神医学会)やICD-11(世界保健機関)等の精神障害のカテゴリーから除外されています。つまり、障害や病気ではなく個々人の考え方の違いであるということです。

ただ、ジェンダー課題に係る課題の一つとして、「平成十五年法律第百十一号 性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律」という法律名自体に”性同一性障害”という言葉が残っています。また、その中の5つの要件(成年、非婚、子なし、生殖不能手術、性器の外観)も必要な理由がよくわからず、早急に変える必要があると思います。

前述のように性的マイノリティには、他にも、身体的に男女の性別に分けることができないインターセックス(Intersex; 性分化疾患)の人や、LGBTという4つのカテゴリーにうまく振り分けられない人などもいるため、「LGBTs」と呼ばれることもあります。考え方や自認が少数であるというだけということです。病気や障害でないことはもちろんのこと、自分で自由に選んだ趣味でもないということです。考え方や生まれ持ったものが少し違う人をどう理解し合うか、それだけのことなのです。

SOGI(ソジ)九州大学のLGBTsサポートガイドから
これはまだあまり聞かれたことがないかたが多いと思います。「SOGI」とは、性のあり方がグラデーションであることを意識した表現で、最近徐々に使われるようになってきました。 SOGIは、性的指向(Sexual Orientation)と性自認(Gender Identity)からとった略語です。

性的指向とは、恋愛や性愛の対象がどの性に向いているかに関する自分での理解、性自認は自分が認識している自分の性別を指します。上記LGBTに関して言えば、性的指向は主にレズビアン、ゲイ、バイセクシュアルに関すること、性自認は主にトランスジェンダーに関することと言えます。しかし、性的指向や性自認は、LGBTに限らず、他のあらゆる人にも関わることです。性的指向と性自認はそれぞれにグラディエーションがあり、択一的なものではありません。複雑に思われるかもしれませんが、その2つが掛け合わさることにより、誰が誰を好きか、人それぞれであるということが分かります。


性的指向や性自認は、遺伝的なものと経験が複雑に掛け合わさって決まるものだそうです。本人の意志とは全く関係ありません。人間の性が本来多様であることに由来するものであり、人権として尊重されるべきものです。
男女間においても全く同じことがいえます。女性蔑視やLGBT蔑視をしてる人の多くは、このことを勘違いしています。意思や趣味で選択したものではないのです。基本的な人権なのです。

カミングアウト 九州大学のLGBTsサポートガイドから
LGBT等の人たちにとって、社会での大きなハードルは、自分がLGBTであるとカミングアウト(公言)することです。LGBT、性自認や性的指向は、外見では全くわかりません。カミングアウトをしないで生活することも可能です。また、その人自身も最初から自分の性的指向や性自認を意識して生活しているわけではありません。日常生活を通じて、男女の区別ありきの社会のしくみや考え方に繰り返し違和を覚えるなかで自我や存在が確立され、自分自身を認識していく、そして自分自身を自分自身として受け入れていくというような過程があります。そのため、自分のことを人に伝え、相手に理解してもらうカミングアウトは重大な決断であり、また難しいプロセスでもあります。カミングアウトされる側にとっても、重大なことです。性に対する価値観は多様であるため、受け入れることができる人もいれば、そうではない人もいるからです。カミングアウトをする際には、そのようなことを理解し、信頼できる人から順に少しずつ行っていくのがよいと言われています。

LGBTの当事者ではない人は、カミングアウトをされると慌ててしまうかもしれません。自分の経験や考え方と異なることを受け入れてほしいと言われるわけですから、とまどったり、びっくりすることは当然です。ゆっくり話し合うことが大切です。無理に理解しようとしたり、わかったふりをする必要もなく、ゆっくり対話することが大切です。

アウティング
このときに問題になることがあります。アウティングと呼ばれるものです。アウティングとは、カミングアウトされたことやその内容を、本人が望んでいないのに他の人に伝えてしまうことです。性的指向や性自認に関する内容は、本人以外が無許可で他人に伝えていいものではないのです。

最後にもう一度伺います

あなたは、女ですか?男ですか?0〜10でお答えください。

どのような答えになるかというよりも、このような質問を聞かれることやどのように答えようかと考えるプロセスが、社会包摂のデザインでは重要な気がしてきました。


リーガル・デザイン・ディクショナリー

性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律
(e-Gov 法令検索、https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=415AC0100000111

九州大学DE&I宣言
(2022年3月14日発表「九州大学 ダイバーシティ、エクイティ & インクルージョン 推進宣言」)

令和4年版男女共同参画白書 
(内閣府男女共同参画局、https://www.gender.go.jp/about_danjo/whitepaper/index.html

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