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時評:アンコン、ポリコレ、マイアグとネガティブ・ケイパビリティ

2024.3.1

今回は最近よく耳にするまた近い関連する3つの概念・言葉を見ていきます。

アンコン ーアンコンシャス・バイアス

内閣府男女共同参画局総務課は、「男女共同参画の取組の進展が未だ十分でない要因の一つとして、社会全体において固定的な性別役割分担意識や無意識の思い込みが存在していること」を述べています。
さらに「第5次男女共同参画 基本計画~すべての女性が輝く令和の社会へ~」においては、固定的な性別役 割分担意識や性差に関する偏見の解消、固定観念を打破するとともに、無意識 の思い込み(アンコンシャス・バイアス)による悪影響が生じないよう、男女双方 の意識改革と理解の促進を図ることとしています。ただこれは男女の間にだけ発生することではありません。
無意識 の思い込み(アンコンシャス・バイアス)の例でよく挙げられるのが
「乳がん」は、女性が罹患するものだ
「日傘」は、女性がさすものだと思う
「親が単身赴任中」ときくと、父親を思い浮かべる
お茶出しは女性がやるものと決まっている
定時で帰る社員はやる気がないと思う
相手の年齢や性別で話し方を変える
などです。
私も気づかずに話したり思ったりしておることも多いですが生まれる要因は3つあると言われてます。
「エゴ」自分の正当化、自分にとって都合よい状態をたもちたい、自己防衛、自己保身などからおこるもの。
「習慣や慣習」当たり前と思っていたことが、時代に合わなくなったり、ずれが生じているにもかかわらず、それに気づかないことから生じる違和感・ストレス。
「感情」個人個人の特有の「囚われやこだわり」、「劣等コンプレックス」などがきっかけになる「自己防衛反応」です。防御のときも攻撃のときもあります。

間違いや思い込みは常に生じるものです。私達は社会で暮らすにあたり、こういったことが発生する、しているということをお互い認識しておかないといけません。


ポリコレ ーポリティカル・コレクトネス

またポリコレと言う言葉もあります
ポリコレとは、「ポリティカル・コレクトネス(political correctness) 」の略で、「政治的妥当性」「政治的正当性」とい訳されます。他者に対して、人種、性別、国籍、宗教、年齢、障がいなどに対する「差別言葉・表現を正す」という考え方です。
例えば以下のようなものがあります。
看護婦・看護士を看護師に、
兄弟をきょうだいに、
障害者を障がい者 障碍者に、
スチュワーデスを客室乗務員、キャビンアテンダントなどに、
土人を先住民に、
肌色をペールオレンジ・うすだいだいに、
母子健康手帳を親子手帳に、
などです。多くが 種の表現、性別に関する表現 、性的指向や宗教に関する表現、年齢や出生に関する表現です。多様性に基づき個人を尊重する姿勢が重要なのですが、これらが行き過ぎ、言葉狩りのようになって別の対立を生んでしまうようなことも散見されます。間違った概念や習慣を思い直す、間違っていたら話し合って訂正するという姿勢ですが、あらたな対立構造を作り出してはもともこもありません。

マイアグ ーマイクロアグレッション

マイクロアグレッションとは意図的かどうかに関わらず、社会的・政治的・文化的・あるいは地勢的に疎外された人たちに対する何気なく行われる発言や言葉遣い、行動に現れる偏見や差別のことです。多くが見下しや侮辱、否定的な態度であると言われています。
よく言われる例は、
新入社員にしては良いこと言うね。
障がい者なのに頑張っているね。
背が高いね、バスケットしてたの?
夜道で外国人を見たら避けてね。
などです。そのことばの背景には、新入社員は能力が低いとの思い込み、障害者は頑張れない、背が高い以外の特徴をみない、外国人は犯罪率が高い など根拠のない思い込みから生まれると言われている言動です。
特定の属性の人に対して、固定観念や先入観、思い込みの解釈から、無意識に発した言葉や態度が、否定的なコミュ二ケーションとなり、相手を傷つけたりストレスを与えてしまっている事実です。「それくらいのこと」「前はこうだった」はなく、自分の無知や無意識が言動が誰かを傷つけることがある、ということへのの想像力もってやり取りすることが重要です。しかし、全ての人が想像力をもって行動できるとは限りません。知らないことがたくさんあります。知らないからと言って対立するのではなく、こういったファクトやエピソードを伝え合う理解し合う姿勢が重要ではないかと感じています。

いくつかの言葉を見てきました。人を差別することはありえません意識がないかといえば自信がありません。

ネガティブ・ケイパビリティ

私達は間違ったことをゆっくり冷静に考え直したり、また間違ったことを責め合うこともないのです。最後にまた難しい言葉がでてきたかもしれませんが、
「ネガティブ・ケイパビリティ」答えのでない事態に耐える力を紹介します。
すぐに答えを見つけられ評価されるのは、“ポジティブ・ケイパビリティ”「できるだけ早く答えを出して、不確かさや不思議さ、懐疑の中から脱出する力」、「問題に対してすぐに答えを出し『わからない』を『わかる』に置き換えていく能力」 のことを指します。(https://www.vogue.co.jp/beauty/article/free-from-anxious-onayami)
一方で「ネガティブ・ケイパビリティ(Negative capability)」とは、どうしても対処できない状況に耐える能力のことや、簡単に答えが出ない状況にもすぐにに解決案や論拠・根拠を求めず、不確実の中にいることができる能力を指しています。日本語では「消極的能力」「消極的受容力」などと訳されていますが、定まっていません。不確かなVUCAの時代に必要な力として、関心が高まっています。VUCAとはVolatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)をしめす言葉で、目まぐるしく展開する予測困難な社会圏を示す言葉です。
このように私達は、他者と違いとうことを見つめ直すことは難しいのですが、様々な概念を利用して、違うことを見ることのできる概念や方法や対象は必要なのです。

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