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03 あなたは女ですか?男ですか?0〜10でお答え下さい。

2022.10.18

先週お伺いした質問です。どのように感じていただけましたでしょうか。

社会包摂デザイン・イニシアティブでは、様々な人と様々なことを考えるために、聴き方・アンケートのデザイン・きくデザインなども研究対象としています。例えば、こんな問いかけ方があります。

社会包摂のための問いかけ (アンケートのデザイン)

  • Q1 あなたは女ですか?男ですか?
  • Q2 自分の性を以下から選んでください。
     男・女・その他
  • Q3 あなたは女ですか。以下の中から最も近いものを選んでください。
     そう思う・少しそう思う・どちらとも言えない・あまりそう思わない・全くそう思わない
  • Q4 あなたの性を以下からいくつでも選んでください。
     女性、男性、無性、中性、両性
  • Q5 あなたの性別について当てはまる順に3つ挙げてください。
     女性、男性、無性、中性、両性
  • Q6 あなたは女ですか?男ですか?
     10(女)〜1(男)の十段階で答えてください。

図1
図2

多くの場合は図1のような聞かれ方です。最近はようやく図2のような、答えなくてよいというような選択肢も少しは見られるようになりました。

選択肢が複数あるアンケートは2件法、3件法、N件法と呼ばれます。

図3のようなLikert法や多選択肢法・順位法など、他にも様々なアンケートでの選択肢の作り方があります。

図3 Likert法・多選択肢法・順位法

また、視覚アナログ尺度(図4)、マトリックス式(図5)など、回答者の直感や印象に頼って評価してもらう主観評価法という方法もあります。

図4 視覚アナログ尺度
図5 マトリックス式

より正しい事実を得るために様々な調査方法やアンケート方法が構築されてきましたが、性別の調査では、誰もが2択に当てはまるという考え方が根強く、そのような変化を持った聞き方をされることはありませんでした。

聞き方によって、答えにはバイアスがかかります。

本来は多様であるはずの性について、2択で聞けば2つの答えしか出てこないのは当たり前の結果なのですが、誰もLGBTについて意識したことがないからか、そんなことも多くの人が気づかずにきたのです。

  • Q あなたは女性ですか?男性ですか? 
  • Q あなたの身体は女性ですか?男性ですか? 
  • Q あなたの心は女性ですか?男性ですか? 

この3点について、LGBTと自認していない人に10段階でお答えくださいという問いかけをしてみました。

図12
図13

結果を見ると、女性(10)と男性(1)に二分されるわけではないことが分かります。図12と図13からは、性自認・心・身体によっても結果が異なることが見て取れます。

これらの統計的な分析は今後行っていきますが、社会包摂デザインのためには様々な問いかけの方法が必要であるということと、その結果についてもバイアスがかかっていないか、バイアスはなにかを常に考えていくことが大切なような気がします。

みなさんもアンケートを受ける時、「あれ、この聞き方でいいのかな?」なんてことを考えてみてください。そうすることで、当たり前を当たり前としてしか考えていなかった自分や社会が見えてくるかもしれません。


リーガル・デザイン・ディクショナリー

基本4情報
個人情報の基本となる氏名、性別、住所、生年月日の4つの情報のこと。
住民票に記載されていて、住民票は住民基本台帳にまとめられています。

住民票・住民基本台帳
(総務省、https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_gyousei/daityo/gaiyou.html

マイナンバーカード
(地方公共団体情報システム機構「マイナンバーカードについて」、https://www.kojinbango-card.go.jp/card/
納税者番号制度、国民総背番号制などを検討し、2016年から始まった制度です。
マイナンバーにも基本4情報が紐付けられています。

戸籍法第49条
(e-Gov 法令検索、https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=322AC0000000224
出生届に「子の男女の別及び嫡出子又は嫡出でない子の別」を書くと定められています。

日本国憲法第24条
(e-Gov 法令検索、https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=321CONSTITUTION
「婚姻は、両性の合意のみに基づいて成立する」と書かれています。

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