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マイナンバーカードに心をこめる

2023.8.22

マイナンバーカードとは

いろいろ指摘があるマイナンバーカードですが、、
マイナンバーカードとはそもそも何でしょうか。デジタル庁によると、
“ 住民の方からの申請により無料で交付される、氏名、住所、生年月日、性別などが記載された、顔写真付きのプラスチック製のカードです。カードのおもて面は顔写真付きの本人確認書類として利用できます。また、裏面にはマイナンバー(12桁の番号)が記載されており、法令または条例で定められた手続におけるマイナンバーの確認に利用できます。ICチップを利用してオンライン上で安全かつ確実に本人であることを証明できるため、デジタル社会に必要なツールとなっています。このマイナンバーカードの普及と利活用の促進に取り組んでいます。 ”
とあります。今ひとつ内容や目的がわかりにくいです。
そもそもどんな根拠で実施されているのでしょうか。

行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律
マイナンバー制度を規定する「番号法」というのがあります。正式名称は、「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」(平成25年法律第27号)で、平成25年通常国会において成立し、平成25年(2013年)5月31日に公布されました。

住基ネット
住基ネット(2002年から)(総務省ウエブサイトより “ 平成11年の住民基本台帳法(以下「住基法」という。)の改正により、行政機関等に対する本人確認情報の提供や市町村の区域を越えた住民基本台帳に関する事務の処理を行うため、地方公共団体共同のシステムとして、各市町村の住民基本台帳のネットワーク化を図りました。” )というのもありました。

国民総背番号制
1968年、佐藤栄作内閣が「各省庁統一個人コード連絡研究会議」で国民総背番号制の導入を目指しましたが失敗しました。
1983年に納税者番号制度としてグリーンカード導入が決まりましたが、導入前に廃止となりました。(少額貯蓄非課税制度(マル優)の悪用防止を目的として、大平正芳内閣で法案を成立させましたが、さまざまな反対から、1985年に制度の導入前に廃止されました。

共通番号制度
2011年、菅直人内閣のもとで社会保障・税一体改革のため共通番号制度導入が検討されました。2013年3月に安倍晋三内閣によりマイナンバー法案が提出されました。

納税者番号制度、国民総背番号制などと呼ばれたこともありました。制度的にはそれぞれ異なるのですが、基礎年金番号、健康保険被保険者番号、パスポートの番号、納税者の整理番号、運転免許証番号、住民票コード、雇用保険被保険者番号など、国が発行する番号を統一的に管理して合理化したいという発想はそれほどおかしくないと思います。ただその発想が、お上の「上から目線」感が大きく、「システム作ったからそれに乗っかりなさい」という感じが多く、情報の伝え方、説明の仕方、表現の仕方に「心がこもっていない」から、うまくいかず反対が出るのだと思います。


心がこもっていないデザイン
もう少し具体的に言うと、マイナンバーカードのデザインが「心がこもっていない」のです。「心がこもっていないデザイン」というのは、ユーザーのことを考えずに、自分の理屈だけで作っているということです。

デザインのチェック
・プロモーション時のキャラをそのまま利用。カード自体にキャラクターの必要性はあるか
・有効期限が複数あり意味不明(非論理性)
・知らない人に書かれた手書き文字(頼りないアナログ感、、、)
・余白の少ないレイアウト(安っぽく見える)
・性別の記載(少なくとも印刷で見えるようにしておく必要は無い。時代感覚)
・謎の青い空白(おそらく行政の都合、それを説明しない不信感)
・マイナンバーカードで臓器提供意思を示す理由がわかりにくい。それにしても文字が小さすぎて、読まない、書かない。
・下請けのやっつけの写真撮影。
・二次元バーコードは個人番号。スマホのカメラで読めるが、電話番号と認識された、、、
・背景に花びらやJAPAN NIPPONの文字。レイアウトも色も幾何的に整理されていないので、工作感が強い。
・文字の間隔の作り方が適当で、やすっぽい。
・レイアウトの幾何の設計思想がない。
・いくつかの但し書きのような記述があるが、文字の組み方がおかしいし、そもそもカードに記載すべき情報か?安全なのではないのか?
・具体的な運営を想定せずに何となく情報をつくって表記しているので、情報の構造などがバラバラ
・取得物としてのフリーダイヤル連絡先は必要?免許証にも保険証にもない。

非常に基礎的なデザインの観点から見ても、これだけのおかしな箇所があります。これはデザイン実務で考えると、それほど難しいことではないので、それをしないということが「心がこもっていないデザイン」と私は考えています。


マイナンバーカードに含まれている情報のしくみ

さてマイナンバーカードに含まれているしくみをみておきます。
マイナンバーカード制度の根拠法は先の述べたように「番号法」行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律です。ポイントは
個人識別番号の導入: すべての日本国民および日本に居住する外国人に12桁の個人識別番号(マイナンバー)を付与すること。
情報の一元管理: 税金、健康保険、年金などの公的サービスに関する情報について一元的な管理を可能とすること。
プライバシーの保護: 個人情報の取り扱いには厳格なルールが設けられており、不正アクセスや漏洩に対する罰則規定。
行政の効率化: 重複する手続きの削減や、正確な情報の提供を通じて行政サービスの効率化を図る。
社会保障・税の適正化: 個人の所得や資産情報を正確に把握することで、社会保障の受給資格や税金の計算が適正に行われるようになる。
セキュリティ対策: マイナンバーの取り扱いに関しては、高度なセキュリティ対策を行うこととする。
カードの発行: マイナンバーカードとして、写真付きのICカードが発行され、公的な手続きやサービスの利用時に提示。

個人情報保護法
個人情報保護との関係では
マイナンバー法は個人情報に関する法律ですが、個人情報の中でもとりわけ個人番号をその内容に含む特定個人情報の取扱いについて定めた法律です。個人情報保護法における「個人情報」は、生存する個人に関する情報で、氏名、生年月日、住所、顔写真などにより特定の個人を識別できる情報をいいます。生年月日や電話番号やメールアドレスなどは、単体では特定の個人を識別できない情報ですが、氏名などと組み合わせることで特定の個人を識別できるため、個人情報に該当する場合があるそうです。
つまり、個人情報保護法は一般法、マイナンバー法はその特別法という関係になります。

遺失物法
また遺失物法では、“ 拾得者は、速やかに、拾得をした物件を遺失者に返還し、又は警察署長に提出しなければならない ” とありますが、マイナンバーカードは警察ではなく、マイナンバー総合フリーダイヤルに電話するように指示しています。

臓器移植法
臓器移植法の基づく意思表示をするスペースがあります。先に述べたように小さすぎて、わかりにくいのですが、現在は、臓器提供の意思表示は、健康保険証・運転免許証・マイナンバーカード・意思表示カード・インターネットによる意思登録で意思表示をすることができます。

様々複雑な構造の制度であり、カードにもさまざまな情報が構造化されています。現状のカードの情報をよくみて、またその情報を論理(この場合のほとんどがデザイン的には幾何設計)的に整理していくことです。マイナンバーカードは広く解釈すると、よりよい包摂的な社会づくりのための一環かもしれません。そのためには、やはり未来へのデザインとして、「テクノロジー(技術の適正利用と展開利用)」「ビジネスモデル(広がるイノベーション)」「社会的納得感」これらをもう少し皆で考えていく必要があるかもしれません。

ところで九州大学職員証の当初事務局案と現在のレイアウトを示します。

当初案と現在の職員証の幾何的説明

また
マイナンバーカードも少し提案してみます

九大学生証と同じく、情報の種類をわけて、基本的な幾何で整理するだけでだいぶ違います。提案は九大の学生証と同じ色にしていますが、誰に見せるものでもないので、基本は自分の好きな色やパターンを選べるようにするといいとおもいます。とにかく自分のモノにするデザインが重要だと思います。


【リーガル・デザイン・ディクショナリー】

行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律及び住民基本台帳法の一部を改正する法律案:
マイナンバー制度の利用範囲を拡大し、行政手続の効率化と国民の利便性向上を図るために、2025年に提出・成立した法律案である。主な内容は、司法書士、公認会計士、獣医師、電気工事士など44の国家資格に関する事務や、その他の行政事務についてマイナンバーの利用を可能にし、行政機関間の情報連携を拡充することで、申請時に必要な添付書類の省略を進める点にある。また、これに伴い住民基本台帳ネットワークの利用対象事務も拡大された。デジタル社会の推進と行政サービスの効率化を目的とする法改正である。
(参考:デジタル庁「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律及び住民基本台帳法の一部を改正する法律案」、https://www.digital.go.jp/laws/7b1e0007-1051-42fc-b079-b80621e67eac

個人情報保護法:
正式名称は、「個人情報の保護に関する法律」。個人情報の適正な取扱いを確保し、個人の権利利益を保護することを目的として2003年に制定された法律である。氏名、生年月日、住所など特定の個人を識別できる情報を「個人情報」と定義し、事業者や行政機関に対して、適正な取得・利用、安全管理、第三者提供の制限などを義務付けている。また、個人は自己に関する個人情報の開示、訂正、利用停止などを求めることができる。近年はデジタル化の進展に対応して改正が重ねられ、個人情報の利活用とプライバシー保護の両立が図られている。
(参考:政府広報オンライン「『個人情報保護法』を分かりやすく解説」、https://www.gov-online.go.jp/article/201703/entry-7660.html )
(参考:個人情報保護委員会「個人情報保護法等」、https://www.ppc.go.jp/personalinfo/ )
(参考:個人情報保護委員会「個人情報保護法の基本」、https://www.ppc.go.jp/files/pdf/kihon_202309.pdf )

臓器提供意思表示:
自らが死亡した後に臓器提供を希望するかどうかについて、あらかじめ本人の意思を示しておくことをいう。日本では臓器の移植に関する法律(臓器移植法)に基づき、運転免許証、マイナンバーカード、健康保険証の意思表示欄やインターネット登録などを通じて意思表示を行うことができる。意思表示には「提供する」「提供しない」のいずれも含まれ、本人の自己決定権を尊重する仕組みとなっている。
(参考:政府広報オンライン「知って考え話し合おう! いのちの架け橋、臓器移植」、https://www.gov-online.go.jp/article/202510/radio-3228.html
(参考:厚生労働省「臓器移植について」、https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/zouki_ishoku/gaiyo.html
(参考:日本臓器移植ネットワーク「意思表示の方法」、https://www.jotnw.or.jp/learn/method/

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