Topics > |

既成概念や固定観念を変えるデザイン研究:デザインによる社会包摂 ー 世界水泳2023福岡大会のピクトグラム・屋外誘導サイン制作 学生プロジェクト

2023.7.6

FINA世界水泳選手権2023福岡大会が、7月14日〜30日で開催されます。この大会のためのピクトグラムと屋外誘導サインを、大会組織委員会と九州大学大学院芸術工学研究院が共同制作しました。

制作に当たっては学生が中心となり、従来使われてきたピクトグラム・サインの改善点の検証や、改善デザインの制作と提案を行いました。

そもそもこのプロジェクトは何をデザインするのかなど根本的な自らへの問いかけから始まり、「従来使われている標準デザインに加え、いくつもの改善デザイン案がある中、どのデザインが最適であるか?」を比較検討するために、理解度調査や、屋外で実寸サイズのデザイン案を呈示した上での聞き取り調査など、さまざまな調査を重ねました。

特にユニバーサルデザイン、ジェンダーニュートラルのあり方や、当たり前に使われているピクトグラムに対し、ジェンダーバイアスやジェンダーロールのアプローチでデザインの提案、設計、実践を行いました。

デザイン制作に関わった学生たちからは、

「ユニバーサルデザインを基本方針とし、より多くの人に分かりやすいデザインを追求しています。一般的に使われるJIS(日本産業規格)のデザインのピクトグラムは、基本的に15歳以上の大人がどう理解できるかを前提に作られています。そういうところからはみ出てしまった人に果たして本当に分かりやすいのかという部分もあって、少し要素を追加したところもありました」

「ルート案内の屋外サインでは、道順を間違う人がいることを前提に、間違った人のための表示も考えました。ユニバーサルデザインの原則の一つである “ミスの許容(エラーに対する許容)” に着目して出てきたアイデアです」

「JISのピクトグラムを検証する中で、性別役割の固定化や偏見につながるのではないか、と思われるデザインもありました。そういった課題に対して、ジェンダー・ニュートラルの観点から改善案を制作したデザインもあります」

などの話が聞けました。

大会の会場を訪れた際にはぜひ、ピクトグラムや屋外誘導サインにもご注目ください。

なお、学生たちにインタビューし、デザインのプロセスの詳細を語ってもらった内容を、DIDI Newsletter
https://www.didi.design.kyushu-u.ac.jp/newsletter/2023_sekaisuiei/
にまとめております。
こちらも、ぜひご覧ください。


【九州大学大学院芸術工学研究院 社会包摂デザイン・イニシアティブ】
Tel: 092-553-4552
E-mail: didi-office@design.kyushu-u.ac.jp




《関連リンク》

西日本新聞2023年3月27日「ピクトグラムとジェンダー」に関する記事掲載
https://www.didi.design.kyushu-u.ac.jp/nishinippon_pictogram/


【ジェンダーバイアスをデザインで取り除く】FINA世界水泳選手権2023福岡大会組織委員会と九州大学大学院芸術工学研究院が共同制作したピクトグラムが、youtube福岡チャンネルで公開
https://www.didi.design.kyushu-u.ac.jp/sekaisuiei-pictogram/


九州大学 未来社会デザイン統括本部2023年4月21日ワークショップで、伊原久裕先生・工藤真生先生が「世界水泳福岡大会ピクトグラム関連」と題して講演しました。
https://in2fs.kyushu-u.ac.jp/news/cabinetoffice_kyudai_230421_report/


FBSニュース(2023年7月7日 放送)
水泳・世界選手権の競技会場公開 性別を感じさせない『ピクトグラム』を九大生が制作
https://www.fbs.co.jp/fbsnews/news96mo43oy3idn38qj58.html

page top >