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【ジェンダーバイアスをデザインで取り除く】FINA世界水泳選手権2023福岡大会組織委員会と九州大学大学院芸術工学研究院が共同制作したピクトグラムが、youtube福岡チャンネルで公開

2023.2.17

九州大学大学院芸術工学研究院では、学生が中心となり、
2023年7月に開催されるFINA世界水泳選手権2023福岡大会に向けて、ピクトグラムと会場外の誘導サインをデザインしました。

ジェンダーバイアスをデザインで取り除く

今回のピクトグラム制作の大きな点として、「ジェンダーバイアスを取り除く」ということがあります。
この度の世界水泳大会に当たって、開催都市である福岡市は、「ピクトグラムはJIS(日本産業規格)のものを使う」と決めていました。これは、東京2020夏季オリンピックの開催都市であった東京都も同様でした。

※JIS(日本産業規格)のピクトグラムは、国土交通省のウェブサイトに公開されています。

しかしながら、
JIS(日本産業規格)で策定されている「チェックイン/受付」のピクトグラムは、「受付員は女性、利用者は男性」と受け取れるデザインで描かれています。九州大学芸術工学研究院のプロジェクトチームは、このような性別の固定化(ジェンダーバイアス)を課題と捉え、改善案を新しくデザインしました。
このたび九州大学が提案した「案内所」のピクトグラムは、受付員と利用者の性別を固定化しないジェンダーニュートラル・ピクトグラムとなっております。

JIS(日本産業規格)のピクトグラム
九州大学が提案したピクトグラム

このようなジェンダーニュートラル・デザインを導入するに当たって、プロジェクトチームではISO(国際標準化機構)規格やJISをはじめ様々なピクトグラムの人型における性差について調査を行いました。また、肩幅、腰のくびれ、足の開き方など、どのように「男らしさ」「女らしさ」が感じられるのか、アンケート等を重ねて調査を行いました。それらの調査結果をもとに、基本のジェンダーニュートラルの人型のデザインを行いました。

世界水泳選手権に向けたサインデザインの工夫と提案

世界水泳選手権に向けたピクトグラムのデザインを提案するにあたって、
「知的障害や認知障害のある人にとってわかりにくいという問題に限らず、LGBTsやジェンダーの問題にも目を向けました。いまは人型のピクトグラムでは男女を区別してデザインされていますが、やはりLGBTsの視点でみると、少しニュートラルな人型も必要ではないかと。JISのピクトグラムでは、ホテルのチェックインだったら女性、ミーティングポイントだったら明らかにビジネスマン風、どちらでもいいときはだいたい男性の形状で描かれているんですが、そういう点から見直していきました」
と工藤先生。
あらゆる問題にアプローチするため、大学生や福岡市在住の社会人あわせて114名を対象に調査を実施し、統計的に理解度を測って結果を出したうえで最終的に採用するデザインを決めていったといいます。  

工藤真生先生 DIDI Newsletter (2022年1月公開)より》


「列並び」「案内所」は、JIS(日本産業規格)に策定されていますが、理解度調査の結果から、JISのピクトグラムよりも理解度が高いデザインを提案しました。また、吹き出しのクエスチョンマーク「?」を入れるなどの工夫を施し、よりわかりやすいデザインを目指したものです。


▶︎2021年度DIDI年次報告書 伊原先生・工藤先生の活動報告(世界水泳福岡大会に向けてのピクトグラム・サインデザイン提案)◀︎


「歩行時間」「ファンゾーン」「歩きスマホ禁止」は、大会および社会要請に応えデザインを検討し、理解度調査結果を踏まえ、よりわかりやすいデザインを提案しました。

制作したピクトグラムの一端を紹介する動画が、YouTube福岡チャンネルで先行公開されています。
「ユニバーサル都市・福岡 PR サポーター」バリカタキッズが、ユニバーサルデザインの観点から、
「列並び」、「案内所」、「歩行時間」、「ファンゾーン」、「歩きスマホ禁止」
の、5つのピクトグラムを紹介します。ぜひご覧ください。

YouTube福岡チャンネル「世界水泳ピクトグラム編」

FINA世界水泳選手権2023福岡大会 https://www.fina-fukuoka2022.org/

プロジェクト代表 伊原久裕

プロジェクト監修 工藤真生 尾方義人 須長正治 

プロジェクト参加学生

疋田睦、久米聖伍、鈴木智畝、金子千聖、星野純平、

川波花音、木森理梨香、松原芽生、谷口由乃香、

畑裕梨、李厚ジョン、趙懐邦、謝敏、山田和佳、寺尾知華


【九州大学大学院芸術工学研究院 社会包摂デザイン・イニシアティブ】
Tel: 092-553-4552
E-mail: didi-office@design.kyushu-u.ac.jp

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