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【横からすいません ヌー谷編】 大谷ルールとペッパーミル

2023.3.11

WBCが開催されています。野球に興味のない人は全くご存じないかと思いますが、WORLD BASEBALL CLASSIC の略で、アメリカのMLBを中心として立ち上げられた、野球の国際大会です。
その詳細はhttps://ja.wikipedia.org/wiki/2023_ワールド·ベースボール·クラシック
をご覧ください。

大谷ルール

その報道などでよく聞かれる言葉に「大谷ルール」があります。
具体的には、”先発投手がDH(指名打者)兼任で打席に立つことができるルール”のことです。野球のルールの細かいところは割愛しますが、もとは、投手と野手・打者を一人で、継続的に行うことを想定せずに作ったルールです。もちろん、想定しなかったことは悪いことではなく、自然なプロセスです。今でもその新ルールが必要な選手は大谷翔平選手だけです。
ルールの範囲を、とてもいい意味で超えた技能や方法が出てきたために、より良いパフォーマンスを発揮してもらう目的で、ルールの改正が行なわれたのです。もちろん、より良いパフォーマンスは興行的なメリットも大きいのは言うまでもありませんが、これ以降もこのルール適用の必要性や状況があるかどうか分からないにも関わらず、今の一人のパフォーマンスの向上のためだけのルール改正です。
想定していたルールの範囲を超えた技能や方法が出てきたときに行なった、尊敬すべきルール改正だと思います。

シューゾー・マツオカルール

テニスでは「シューゾー・マツオカルール」というのがありました。
1995年「全米オープン」男子シングルス1回戦の試合中、選手の松岡修造さんが動けなくなってしまいました。原因は痙攣だったそうです。しかし、痙攣でのメディカル・タイムアウトは認められていませんでした。トレーナーもルール上、触れることができず、、、そのまま2分間放置された松岡さんは遅延行為と見なされ、ペナルティが課されて、結果、棄権となったそうです。どう考えても、健康や命よりもテニスのルールが上位に来ることは有り得ませんが、私達は思想と異なるルールの適用をしてしまいがちです。ルールの適正運用とは言えないにも関わらずです。

このことがきっかけで、試合中の痙攣治療が認められるようになり、そのルールは「シューゾー・マツオカルール」と呼ばれました。

しかし、このルールは2010年に廃止されてしまいました。このルールを悪用し、痙攣していないのにメディカル・タイムアウトを取って休憩する選手が現れたためです。

田澤ルール

もう一つ、これも野球ですが「田澤ルール」というのがありました。プロ野球とアマチュア野球、また日本球界とアメリカ球界のルールの差や、その思考の差から生まれたものだと言えます。田澤純一さんというアマチュア野球の選手が、アメリカの球団と契約したことがありました。

「田澤ルール」とは、日本プロ野球のドラフトを拒否して海外球団と契約した選手について、帰国後の3年間または2年間、ドラフト会議で指名しないというものです。

その後は撤廃されたのですが、その理由は、https://www.valueup-jp.com/2020/12/08/column-vol14/

によると”田沢ルールに独占禁止法違反(共同の取引拒絶)の嫌疑があり、公正取引委員会から調査を受けたため”です。
「共同の取引拒絶」とは独占禁止法が禁止する違反行為(不公正な取引方法)の一つです。簡単に言うと、「同一産業の事業者が申し合わせて、特定の取引先との取引を拒絶してはならない。」というルールです。

日本のプロ野球に”就職”してくれるものと思っていたおじさんたちが怒ったのでしょう。

大雑把に例えて言うと、「大学と日本の企業のあいだで、就職の方法をざっくり決めていたけど、日本の会社に就職してくれると思っていた優秀な学生が、アメリカの会社に就職するとか考えてなかった。そんなこと聞いてなかったんで、日本に帰ってきても日本の会社にはすぐに就職させんよ。」って感じです。

ペッパーミル・パフォーマンス

英語ではペッパー・グラインダー・セレブレーションが正式な言い方だそうで、「We are grinding」(コツコツ粘り強く行こう)と掛かっているそうです。援用され、後に続け、身を粉にして、という意味もあるとかないとか。

最初に始めたヌートバー選手は人柄と実力で人気があったこともあり、一気に広がっているようです。言語を越えたコミュニケーション、ポーズ、パフォーマンスは、身体表現としてとても楽しく受け入れられるようです。アメリカ・メジャーリーグの文化ですが、日本でもそれを取り入れ、また海外からの選手は日本の文化(日本語やお辞儀など振る舞い)を取り入れることにより、相互理解を生み出そうとしているようにも思えます。

今年度の第3回の社会包摂デザイン研究会「共生」で、登壇者の下村萌先生は「外国人が自国(日本)の文化を取り入れてくれたことを日本人はとても喜び、コミュニケーションが進む」と話されていました。

代表選手とは

WBCの出場選手基準は以下だそうです
• その国の国籍を持っている
• その国の永住資格を持っている
• その国で生まれている
• 親のどちらかが、その国の国籍を持っている
• 親のどちらかが、その国で生まれている
• その国の国籍または、パスポートの取得資格がある
• 過去WBC大会で、その国の出場枠に登録されたことがある

ラグビーワールドカップの代表選手基準 
·その国(地域)で本人が生まれた。
·両親または祖父母の内の一人がその国(地域)で生まれた。
·本人が36カ月以上継続してその国(地域)に居住している。

サッカーの代表資格ルール
• 選手にその国生まれの親もしくは祖父母がいること
• 選手がその国に少なくとも2年間の居住歴を有していること
という「明確なつながり」を示す必要があるようです。

旧東西ドイツ、旧ソビエト連邦、旧ユーゴスラビア、それからイギリスなども歴史的な経緯から代表チームや代表選手に基準や考え方は様々です。

スポーツリーグと外国人の考え方

日本のサッカーJリーグは、
2018シーズンまでは3人、2019シーズン以降は撤廃され、今は無制限。
しかし、試合に同時出場できる人数は、5人までと制限されています。

日本のプロ野球は
出場選手登録(一軍登録)は4人まで。ただし出場選手登録申請は「投手2人に野手2人」「投手1人に野手3人」「投手3人に野手1人」の3通りに限定される。

バスケットのBリーグでは(2020~)
外国籍選手·チーム登録上限「3」·試合エントリー「3」
 出場選手(オンザコート):各クォーター「2」

帰化選手、アジア特別枠
 ・各チーム1名まで(帰化選手とアジア特別枠の選手のどちらか1名まで)
 ・チーム登録、試合エントリー、オンザコートの計算上は外国籍選手に含まない

となっています。

世界大会などの代表選手やプロスポーツのリーグの外国人枠の考え方など、各国や種目ごとを比較していくことで、スポーツ文化と国の歴史、「外国人」の考え方が具体的に見えてくるかもしれません。


WBC2023|試合方式・ルール

【順位決定方法】

• 同率チームとの対戦成績

• 同率チームとの対戦で1アウトあたりの失点数が少ないチーム

• 同率チームとの対戦で1アウトあたりの自責点数が少ないチーム

• 同率チームとの対戦で打率が高いチーム

• WBCIによる抽選
・2チームが同順位の場合
当該チーム間の直接対決の結果で順位を決定する。

・3チームが同順位の場合
当該チーム間の対戦成績で判断。それでも同じ場合は失点率、防御率、打率、抽選の順で決定。

【DH制・大谷ルールの適用】
全試合で指名打者制(DH制)を採用する。同じ選手が先発投手と指名打者を兼任可能な「大谷ルール」も採用される。

【延長10回以降はタイブレーク制】
延長10回以降はタイブレーク制を採用し、勝敗が決まるまで延長を続けるため、引き分けはない。タイブレークでは無死ランナー二塁からスタート。打順は9回終了時点から引き継ぎとなり、ランナーはその回の先頭打者の前の打者が走者となる。

【コールドゲーム】
5回以降に15点差以上、7回以降に10点差以上の点差がついた場合はコールドゲームとなる。同制度は1次ラウンドのみに適用される。

【MLB新ルールの適用はなし】
2023シーズンからMLB(メジャーリーグ)で導入されるピッチクロック、守備シフト制限、ベースの拡大などの新ルールはWBCでは適用されない。

WBC2023|投手の球数制限・登板間隔
1次ラウンドは1試合につき65球まで、準々決勝は80球まで、準決勝以降は95球までの球数制限があり、いずれも球数を超過して投げることはできない。
50球以上を投げた場合は中4日以上、30球以上は中1日以上の登板間隔を空ける。また、2試合連続で投球した場合は球数に関わらず、登板間隔を中1日空ける必要がある。
さらに「ワンポイント禁止ルール」が採用される。登板投手は最低3人の打者と対戦を終えるまでマウンドから降板することができない。

WBC2023|参加資格
WBCの参加資格として、代表チーム選手は下記のいずれかに該当している必要がある。

• 当該国で出生

• 当該国の国籍または永住資格を所持

• 両親のどちらかが当該国の国籍を所持または出生

• 当該国の国籍またはパスポートの取得資格がある

• 過去のWBCで当該国の最終ロースターに登録されている

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