社会包摂映画制作
2022年12月より取り組んできた、障害を有する人との映画制作プロジェクト(: 社会包摂映画制作プロジェクト)。
障害を有する人の文化芸術活動の中で、絵画制作は多くの人が取り組み、私たちはその世界に驚かされ、文化芸術活動として一定の地位を得、社会に根を下ろしつつあります(注)。
一方、様々な立場の人とのコミュニケーションを要し、「今、ここにはない」物語を創造し言葉をつむぎ、自分の目ではなくカメラを通して場面を認知し、創られたシーンや演者を撮影する映画制作は、様々な要因が絡み合い、制作上の難易度が高く、知的障害者の取り組みではその例を見ません。しかしながら、未だ明らかになっていない知的障害の世界を、当事者本人が自らの思いとあわせて、映像で伝えることができたら、我が国の障害理解に、一石を投じることができるかもしれません。また障害当事者本人にとって、より多くの人が自分の思いに関わってくれた、という経験は、その人の自己肯定感を高め、その後の人生を前向きにするものになります。
また、知的障害を有する人が人的・環境的支援においてどのような基盤やコツがあれば、能動的に共同制作できるのかも明らかにしたい。障害を有する人ではなく、その周りが障害そのものを理解し、変わることで、障害を有する人が制作しやすい、自分の思いを伝えやすい社会になるかもしれない。
このような前向きな思いから、本プロジェクトはスタートしました。
2023年4月9日に、猫島として有名な、福岡県糟屋郡新宮町の相島(あいのしま)で撮影を行いました。
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相島は、古川さんの小さい頃の思い出の場所です。総勢22名、知的障害を有する古川さんとお母様、俳優の皆さん、撮影技術スタッフの皆様そして、このプロジェクトに手を挙げてくださった高村剛志監督と本プロジェクトメンバーが参加しました。
いつもスマホを使っている古川さん。
猫の撮影は、彼女のスマホで撮りました。
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最初は緊張から撮影スタッフと距離がありましたが、我々プロジェクトメンバーから離れ、だんだん輪の中に入り、自分の意見を伝え全体に指示を出すようになった古川さん。
![](https://www.didi.design.kyushu-u.ac.jp/wp-content/uploads/2023/04/4bdde4c52a77962459411e2efdc68f29-1024x683.jpeg)
![](https://www.didi.design.kyushu-u.ac.jp/wp-content/uploads/2023/04/516cfc7c54d2ba5f7e5d35f7a9a5c836-1024x683.jpeg)
最後は自分で真ん中に立ち、記念撮影をしました。
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(前列中央)知的障害を有する古川さん。(前列右端)高村剛志監督
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*個人名の掲載・顔の露出は、障害を有する人本人、保護者、施設理事長より同意を頂いております。
(注)障害を有する人の絵画制作の事例
朝日新聞デジタル2021年11月10日「自閉症の芸術家、契約社員に 企業雇用で創作に専念」
https://www.asahi.com/articles/ASPC96X24PC5TIPE019.html